アルミニウムにめっきは可能ですか? |
原則的には可能ですが、JISを見ても分かるようにアルミニウムには1000番〜7000番までグレードがあり、これらの全てに対して密着性に優れためっきができるわけではありません。ただし、密着性を問わないのであればどのグレードでもめっきは可能です。
アルミニウム材としてめっきに適するグレードは1000(純アルミニウム)、5000、6000番台のアルミニウムです。2000、7000番は強度的にはあまり良くなく、90度方向のピール(引剥し試験)によれば0.5kg/cm以下の強度です。このレベルの強度は、円筒形の物品はともかくとして平板では剥離しやすくなります。極端な場合では、一見めっき上がりで異常がないように見えても一夜明けて翌朝になるとプツプツと米粒大の“膨れ"を呈することもあります。
なお、3000番台のアルミニウムに対してのめっきご要望のケースはほとんどありません。
めっきに適したアルミニウム材料ではどの程度の密着強度となるのでしょうか? |
これはアルミニウムのグレードによって異なります。概して純アルミニウムは密着性が高く、90度方向ピール強度は、>20kg/cm以上にも及びます。また弊社がロール素材に多用するマグネシウム系のアルミニウム合金では若干低く、10kg/cm以上というデータが得られています。
アルミニウムにはどの様な方法でめっきするのでしょうか?またクロムめっきは可能でしょうか? |
アルミニウム、チタン、ステンレス材などは、一般に難めっき材料とされています。その理由は、表面に強固な不働態(酸化)被膜が存在しているからです。ただしこれらの材料に対しては、適正な前処理を行えばめっきは可能です。
アルミニウムとその合金の最もポピューラーなめっき手法は、目的とするめっきをする前に亜鉛を置換するジンケート処理を行なうことですが、どのめっきでもただちにできるというものでもありません。クロムめっきの場合には直接めっきすることができますが、クロムめっき固有のクラックの存在と亜鉛置換膜の存在が腐食促進因子(水分、亜硫酸ガス、塩素など)による界面(境界)腐食を起こしやすく、クロムめっきの膨れにつながります。したがって機能上はクロムめっきの性質が必要な場合であっても耐食的の付与も優先事項の一つとなり、まずニッケルめっきを行った後にクロムめっきすることを推奨しています。
なお亜鉛置換したアルミニウム材に直接めっきできるクロム以外の金属は、亜鉛置換膜の性質上意外に制約が多く、たいていは条件を限定したニッケルや銅めっきを介して目的とする皮膜をめっきすることが多くなります。
アルミニウムやマグネシウムあるいはニオブなどの金属そのものを電気めっきできますか? |
通常の水を溶媒とする電気めっきは不可能です。イオン化傾向(専門的に言えば標準電極電位)の問題があり、常にめっき金属と水からの水素のめっき(水素ガスの発生)との競争反応となり、水素の標準電位と比べて極端に卑電位(イオン化傾向の大なる)となる金属の場合には水素だけが優先的にめっきされて目的の金属はめっきされないためです。アルミニウム、チタン、ニオブなどが水溶液中から電気めっきできない理由はこのことに原因があります。
水溶液による電気めっきに限定しなければ、アルミニウムは融点が低いことを利用して溶融させてめっきする、俗に言うどぶ漬めっきが可能です。また融点の高いニオブなどは、超伝導材としてしばしば電気めっきの可能性の問い合わせがありますが、例えば真空チャンバーを利用する真空蒸着などの乾式めっきであれば、めっきは可能となります。
セラミックにめっきは可能ですか? |
可能ですが、セラミックは絶縁体であるのでそのまま電気めっきはできません。通常は、導電ペーストで焼成して導電ベースを形成したり、プラスチックめっきと類似する方法で無電解めっきを被覆して、導電ベースを設けて目的とする電気めっきに移行します。ただし密着性の程度の問題もあるので、どの様なことに適用したいのか支障のない範囲で弊社にご相談頂くか、それが不可能であれば素材を提供して頂き弊社でめっきしてご返却致しますので、お客様の方で使用に耐え得るかどうかの評価をお願いすることになります。
なお、弊社への依頼の多いセラミックはアルミナ、ジルコニアなどで、めっき皮膜としては無電解ニッケル、電解ニッケル、銅めっきなどです。
鉄鋼材料にニッケル、銅、クロムなどのめっきをしたいのですが、使用条件によって剥離したりしないでしょうか? |
基本的にめっきと素材との関係は、素材金属とめっき金属との原子同士をいかに近接させるかにかかっており、めっきの密着性を左右する要素技術は素材表面をクリーンな状態にする前処理にあります。つまり、めっきすべき物品は、単にめっき液に浸漬し通電すればめっきできるという単純なものでもなく、いかに素材表面の汚れを除去し、活性な金属面を露出させるかというめっき前処理が重要となります。
さまざまな使用条件における剥離ですが、めっきの密着性を含めた不適合(不良)の原因の90%はめっき前処理の良否にあり、適切に前処理された金属素材表面からはめっき皮膜が剥離することはありません。またその結合力も金属と金属との結合に基づくものです。
またこれに関連してめっき金属の密着強度についてのお問い合わせも頂きますが、当社ではJIS-G-0601に規格化されているクラッドスチール剪断試験方法を採用しており、適切に前処理しためっきの剪断密着強度は素材ないしめっきの剪断強度となって界面で外れることはありません。もし界面で外れるのであれば、これはめっき前処理方法に改善の余地があり、ベストなプロセスを採用していないためであると言えるでしょう。
鉄鋼材料からなる物品に被覆したクロムめっきが腐食したのですが、これはなぜでしょうか? |
まずこのお問い合わせを頂く場合、
とがお客様の方で区別が付かずに、いずれであっても“クロムめっきの腐食"と一括りにされているケースが多くあります。ちなみに前者のクラックを通しての単純な下地腐食は、クロムめっきが腐食されている訳ではなく単に下地の鉄材が腐食するためにクラックを通して錆が上昇する現象です。この場合の簡単で最も手っ取り早い対処方法は、下地とクロムめっきの中間へのニッケルめっき挿入です。
さし当たり、クロムめっきの腐食については一度弊社へお問い合わせ頂き、
をお伝え下さい。もしこれらが不明であれば、
をお伝え下さい。
また、お客様の使用条件が変化した場合でも全く変化していないと思い込まれているケースも多々ありますので、可能な限り御社での使用実体と、先に挙げた腐食状況をお伝え頂ければ有効な対処法をご提案致します。
野村鍍金あるいは他社で施してもらったクロムめっきのクラックを通して下地が腐食したのですが、以前は何年も持ったのに今回は数ヶ月〜1年でした。使い方も以前と変わっていないので、これはめっきの付け方が悪い、あるいはめっきの質が悪いということではないのでしょうか? |
クロムめっきの条件上のバラツキがないとは言い切れませんが、あってもほぼ100%JISで定める工業用クロムの範疇に入っていると考えて頂いて結構です。利用している浴の種類や組成はどのめっき業者でもほぼ同一で、また最も光沢と硬度の高い条件を選定しております。逆に、条件を変化させる方が困難な状態だというのが実際のところです。
確かにめっき液の新旧つまり不純物により若干硬度やクラックの状態が変化するのも否めませんが、腐食形態が水分起因の下地の腐食によるものであれば、寿命の多少の長短を論じるのは余り意味がありません。極端な場合、表面に水を利用する様なロールであれば水質の影響、湿度の影響、外部環境、つまり大気の汚染状態の変化などが影響しますし、予備ロールであればその保管状態によっても変化するからです。したがって、めっきの構成を代えた対策を取るのがベターであると言えます。